84件のいじめと149名の不登校

2021年3月8日の予算特別委員会では、いじめ、不登校の児童・生徒への対応について質問しました。

いじめの問題

今の時代、学校内でのいじめは社会問題です。

ニュースでは、いじめが原因で、不登校や転校、最悪の場合自殺にまで追い込まれてしまったケースが度々報道されます。

最近ではその報道がきっかけで加害者が特定され、個人情報がSNS上で拡散されたり、学校・教育委員会や加害者の家族に対して社会的なバッシングが行われたりということも珍しくありません。
もはや、いじめはただの学校内トラブルでは済まさせなくなる時代となっていて、子供、親、先生の3者でいじめとの向き合い方を考えなくてはなりません。

2019年度の港区の小・中学校におけるいじめの認知件数を区に尋ねたところ、小学校が65件、中学校が19件で、合計84件となっているそうです。

いじめが解決したと判断する基準としては、「いじめそのものの行為が解消していること」をもちろん前提として、被害者の心理的ストレス軽減に向けて支援を行うことや、加害者とその保護者へ指導等を実施し、最低3か月の経過観察をして、解消したか判断する、と教育委員会が定めていて、学校はその基準に基づき、児童・生徒の実態に応じた指導や支援を行っている、とのことです。

区のいじめ防止基本方針では、いじめが疑われる段階での調査を開始し、いじめ被害者とその家族に寄り添って、原因究明と解決に取り組むとされています。

しかし、区が行なった子どもへの聞き取り調査では、子どもが「大丈夫」と言って解決済みとされた事案でも、実際のところ心の中では解決していなかったという事例がありました。子どもが家族に話をして、それを聞いた家族が、どうなっているのかと学校に問い合わせたということだったそうです。

学校の先生にいじめについて聞かれても、話した内容が加害者の子どもに伝わるのではないかという不安がある、これ以上面倒ごとを起こしたくない、などの理由で「大丈夫」と答えてしまうこともあるでしょうし、子ども同士では本当に解決していたとしても、後から話を聞いた家族が学校の対応に納得できないということもあるかと思います。

いじめが起こる原因には一つ一つに様々な背景や事情がありますし、どのような基準で「解決した」と判断するのかも、ケースバイケースになることだと思います。
それでも、いじめの問題を解決していくにはまず、それぞれの状況を把握して一つ一つ解消していくしかありません。

区には、できるだけ細やかに実態を把握し、現状に沿った対策をしていくことを期待します。

不登校の問題

さらに、不登校問題についても質問しました。

区は、いじめだけでなく様々な理由で不登校になった児童・生徒に指導を行っています。

区に状況を確認したところ、

2019年度の不登校児童・生徒数は小学校が64名、中学校85名で、合計149名。このうち、指導の結果、登校できるようになった児童・生徒は小学校で4名、中学校2名で、合計6名で、また継続した登校には至らないものの好ましい変化が見られるようになった児童・生徒は、小学校46名、中学校79名で、合計125名となっており、復学できた児童・生徒を含めると全体の約88%になる。

とのことです。

不登校の児童・生徒に対して、区が行っている対応はどのようなものか聞いたところ、

・不登校状態の改善が見られない児童・生徒に対しては、担任や養護教諭、スクールカウンセラーによる定期的な面談を実施し、状況が学校によるものか、家庭や本人によるものか見極める
・それらを踏まえ、保護者と連携して状態に応じた支援を進める

となっているそうです。しかし、登校できるようになった児童・生徒の人数が6人というのは少ない、とは言えないかもしれませんが、少なくとも多いとは言えないと思います。

これについて、区は今後どのように対策を行うのか尋ねました。

今後は、対面での指導に加え、1人1台配備したタブレット端末を利用して、オンラインでの面談や学習指導に取り組み、不登校児童・生徒の実態に寄り添った対応を進めてまいります。

不登校の児童・生徒に対して、きちんと対策を考えていることが伝わりました。対策をすることで、さらに多くの児童・生徒が状況を改善されていくよう、今後も続けていただきたいと思います。

私の考え

ここで指摘したいのは、区からの回答には、不登校になってその後転校した子どもたちの人数は含まれていないということです。

いじめや家庭環境など、不登校には様々な理由があります。

私は、子どもが転校することで問題が解決するケースがあるならば、もちろんそれが対策の全てとは言えませんが、問題解決の1つの手段としてもいいと思います。

今のところ、区では不登校の子どもたちの転校について把握していませんが、そのように不登校に向き合うケースも実際にあります。区に対しては、転校の実態について把握するように要望しました。
転校という選択肢が不登校の子どもたちへの支援の1つになればいいな、と思います。

もちろん、いじめがない学校を作っていくことが理想です。

ただいじめが起きてしまった場合でも、無理に大人が学校へ行かせるべきではない、と思います。

フリースクールなど、学校だけではない色々な選択肢もあります。方法は何であれ、一人一人がその子らしく育っていけることが大事だと思います。
私は、そのために支援をしていきたいと考えています。

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