学校が終わるチャイムが鳴り、子どもたちが放課後を迎える14時や15時。
しかし、子どもたちが思い切り体を動かせるはずの校庭や体育館が、
実際に「学校施設開放」として使えるようになるのは17時からという現状があります。
この「空白の2時間」が、子どもたちの運動機会を奪ってはいないでしょうか。
公共施設である学校が、一部の判断で使い方が決まるのではなく、誰もが公平に、
そして放課後すぐに利用できる環境へとアップデートする必要があります。
国の指針とガイドライン
学校施設の開放について、スポーツ庁は2020年、『学校体育施設の有効活用に関する手引き』
を策定し、自治体へより踏み込んだ対応を求めています。
- 「地域スポーツの核」としての活用:
国は、学校施設を「地域スポーツの最重要インフラ」と位置づけ、
部活動の地域移行に伴い、「平日の放課後の早い時間帯からの開放」を積極的に進めるよう明記。
- 管理責任の所在(学校長負担の軽減):
指針では、施設開放の責任を学校長一人に負わせるのではなく、
「教育委員会(設置者)が主体となった管理体制」への移行を求めています。 - 公平性と透明性の確保:
特定の団体による既得権益化を防ぐため、「客観的な利用基準の策定」や、
誰でも状況が分かる「デジタル予約システムの導入」など、手続きの透明化を強く推奨しています。
“現状に即した教育環境の整備を“
港区では、学校施設開放に関連する事業に年間約3億5,500万円もの公費を投じていますが、
国の最新指針に照らすと、4つの大きな問題が浮き彫りになります。
その為、今回私は以下の4つを質問致しました。
1. 「16時からの開放」はもはや国の要請である
子どもたちの「黄金の放課後」を奪っている17時の壁があります。
スポーツ庁の指針では、地域クラブ活動や子どもたちのスポーツ機会を確保するため、
平日の放課後の早い時間帯からの円滑な利用を求めており、
16時からの開放はもはや国からの明確な要請と言っても過言ではありません。
しかし、港区の現状は小学校が終わってから一般開放が始まるまで「空白の120分間」が生じており、
公共資産の有効活用という国の指針に逆行する最大のボトルネックとなっています。
区は放課後GO→の活動時間をその理由に挙げていますが、
国の指針に則り、教育委員会が責任を持って管理員を配置し、
学校の管理業務と切り離した独立した運営体制を構築すれば、16時からの開放は十分に可能です。
特に低学年の児童にとって、17時からの開始は帰宅時間に近く、活動が極めて限定的になってしまいます。
学校が終わってすぐに、慣れ親しんだ校庭でスポーツを始められる環境を整えることが急務です。
子どもたちの健やかな成長を支える「子どもたちのための開放」を即刻実現すべきです。
回答 生涯スポーツ振興課長
- 開放時間の繰り上げ(16時〜)について
現在、放課後GO→などの児童の活動が17時頃まで行われているため、
原則として地域の団体への開放は17時からとしている。
現時点で16時への変更予定はないが、今後の学校の状況を見ながら、
時間変更の可能性について学校と意見交換を行っていく。
2.なぜ1日の違いで「優先」と「抽選」に分かれるのか
港区の学校施設開放は、3年に一度の団体登録更新の時期を迎えています。
全ての団体が来月4月以降も活動を続けるため、今まさに申請書類を提出していますが、
ここで深刻な運用の矛盾が浮き彫りになっています。
現在、登録団体は「届出団体A」と「届出団体B」に区分されています。
驚くべきことに、両者は登録要件も、提出する申請書類も、
さらには更新手続きのお知らせ内容に至るまで、全く同様のものです。
しかし、その権利には天と地ほどの差があります。
団体Aは事前に優先的に枠を抑えることができるのに対し、
団体Bは不確実な抽選に申し込むことしか許されていません。
この巨大な格差を隔てているのは、活動の質でも人数でもなく、
「2023年9月1日までに登録したか、それ以降か」という一点のみです。
9月1日までに登録していれば団体A、たった一日遅れて9月2日以降に登録すれば団体B。
この開設時期だけの違いによって、なぜこれほどまでに不公平な利用申請の差が生まれるのでしょうか。
公共施設は特定の時期に登録した団体の持ち物ではありません。
同じ要件を満たす区民団体でありながら、
登録日の前後だけで「優先」と「抽選」という決定的な差をつける運用の根拠はどこにあるのか。
この「2023年9月1日」という不可解な線引きの妥当性を厳しく問わなければなりません。
回答 生涯スポーツ振興課長
令和5年の予約システム導入時、既存団体が安定的に活動できるよう配慮を求める声があった。
そのため、令和5年9月以前から活動する「定期的・継続的な団体」と、
それ以後の団体を区分して運用している。
3.大人優先の施設開放ルールは公平と言えるか
港区の現状を見ると、子どもたちの運動環境は危機的な状況にあります。
現在、一部のマンモス校では、施設規模に対して児童数が過多となっており、
昼休みや中休みでさえ、校庭や体育館で遊べる日が「学年ごとの曜日指定」に制限されています。
在校生ですら、日中の自由な時間に満足に遊ぶことができない。
この異常な状況が放置されている一方で、
放課後の施設開放が地域の大人たちの団体に優先されている現状は、果たして公平と言えるでしょうか。
学校施設開放の枠は、大きく分けて「17時〜19時」と「19時〜21時」の設定となっています。
仕事帰りの大人がスポーツを楽しむ19時以降の枠については、
社会教育の場としての有効活用を認めますが、
19時以前の時間帯については、完全に「子どもたちのための専用枠」として再定義すべきです。
学校が終わってからの数時間、子どもたちが「場所がない」と教室に閉じ込められるのではなく、
校庭や体育館で全力で走り回れる環境を保障すること。
それが、学校併設の施設としてあるべき姿ではないでしょうか。
まずは、事態について2025年度のうち特定の週における19時以前の学校施設の開放の枠で、
子供達だけが使用している枠数と割合について伺いました。
回答 生涯スポーツ振興課
2026年2月の調査では、17時〜19時の時間帯における地域の団体への開放枠のうち、
子どものスポーツ団体の使用は55枠(全体の63.2%)を占めている。
学校の施設開放で子どもの割合が6割というのは、少なすぎます。
もっと多くの子どもたちが利用できるようにすべきです。
4. 「学校長承認」という名のブラックボックスを解消せよ
今回の調査で、区は令和5年9月以前から登録している既存団体を、
新しく登録する団体とは別枠で優遇している実態が明らかとなりましたが、
本来、公共施設である学校は特定の団体の持ち物ではありません。
登録時期という過去の事情によって、今スポーツを始めたい子どもたちの枠が制限される不平等は、
文部科学省が求める「新規利用者への公平なアクセス」に真っ向から反するものです。
さらに、17時までの「学校枠」の利用許可が、
依然として明確な基準のない学校長判断という名のブラックボックスに委ねられている点も深刻です。
国の指針では、特定の団体が優先される不公平な運用を排し、
誰もが納得できる「客観的な利用ルール」を教育委員会が策定することを求めています。
どの団体が、どんな基準で利用しているのか。
この不透明な運用を改め、聖域化されたブラックボックスを排除して、
教育委員会が責任を持って管理する「公平な一般枠」として16時から開放することこそが、
多額の公費を投じている公共施設のあるべき姿であり、
今こそ透明な評価基準に基づく公平な枠の配分へ舵を切るべきです。
回答 生涯スポーツ振興課長
構成員10名以上、区内在住者7割以上、非営利といった明確な登録要件を定めており、
継続的にルールの改善を図っている。
なお、団体連絡先の公開については、代表者個人のプライバシー保護の観点から、
同意がある場合にのみ個別に伝える運用としている。
結びに
今回の質疑を通じて、17時以前の「空白の時間」の活用について、
生涯スポーツ振興課長から「学校側と意見交換を行う」という一歩踏み込んだ姿勢を引き出すことができました。
学校施設は、子どもたち、そして地域住民の大切な公共資産です。
一部の団体の既得権益を守るためではなく、
今を生きる子どもたちが放課後、1分でも長く、そして1回でも多くスポーツを楽しめる場所であるべきです。
国の指針が示す通り、運営の透明化と効率化をさらに進め、
港区の学校施設が真の意味で「地域に開かれたスポーツの拠点」となるよう、これからも粘り強く取り組んでまいります。
子どもたちの放課後がより豊かに、そして公平に支えられる環境作りが進められることを期待します!
〈参考文献〉
・学校体育施設の有効活用に関する手引き(スポーツ庁)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250613-spt_stiiki-000006314_1.pdf

